各種病気については、必ず医師の診断が必要です。
少しでも疑問を感じたかたは、お気軽に検査を受診してください。
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白内障
人の目はよくカメラにたとえられますが、カメラのレンズに相当するのが水晶体です。
正常な水晶体は透明で、光をよく通します。しかし、さまざまな原因で水晶体の中身のたんぱく質が変性して、濁ってくることがあります。これが『白内障』です。
水晶体が濁ると、光がうまく通過できなくなったり、光が乱反射して網膜に鮮明な像が結べなくなり、視力が低下します。
原因・症状
さまざまな原因で起こりますが、最も多いのは、加齢によるものです。
個人差はありますが、誰もが年を重ねるにつれ、水晶体は濁ってきます。加齢による白内障は一種の老化現象ですので、高齢者の方ほど多く発症します。
最近では、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの合併症として、若い人の発症が増えています。
その他、母体で風疹に感染するなどが原因で生まれつき白内障になっているケースや、目のケガや薬剤の副作用から白内障を起こす場合もあります。
視力の低下が主になりますが、目がかすむ、まぶしくなり、明るいところで見えにくくなる、一時的に近くが見えやすくなる、眼鏡が合わなくなる、二重三重に物が見える等
緑内障
緑内障は厚生労働省研究班の調査により、日本における失明原因の第一位をしめており、日本の社会において大きな問題となっています。しかも40歳以上の日本人には約20人に一人の割合で緑内障の方がいるということがわかりました。また、緑内障の有病率は年齢とともに増加していくことが知られています。
しかも上記の調査では、発見された緑内障の患者さんのうち、それまで緑内障と診断されていたのは、全体の1割に過ぎませんでした。つまり、緑内障があるにもかかわらず、これに気づかずに過ごしている人が大勢いることも判明しました。
最近の緑内障の診断と治療の進歩はめざましく、以前のような『緑内障=失明』という概念は古くなりつつあります。現代医学を駆使しても失明から救えない、極めて難治性の緑内障が存在することも事実ですが、一般に、早期発見・早期治療によって失明という危険性を少しでも減らすことができる病気の一つです。
原因・症状
自覚症状としては、見えない場所(暗点)が出現する、あるいは見える範囲(視野)が狭くなる症状が最も一般的です。しかし、日常生活では、両眼で見ていますし、多くの場合、病気の進行は緩やかなので、初期は視野障害があってもまったく自覚しないことがほとんどです。実際、緑内障の患者さんが自覚症状で気がつくのは、かなり進行してしまって視野や視力が悪化してからということも多いです。視野障害が進行した場合は、視力が低下したり、場合によっては失明することさえあります。しかも緑内障が恐ろしいことの理由の一つは、緑内障の進行は常に一方通行であり、喪失した視野や視力を治療によって取り戻すことはできません。緑内障の治療は、あくまで進行をゆっくりにするためのものであり、見え方を改善することはできません。
また、急激に眼圧が著しく上昇した場合(急性緑内障発作)は、眼痛・充血・目のかすみのほか、頭痛や吐き気を自覚することもあります。この場合、大変苦しくなりますし、急速に視野が悪化していきますので、早急に治療をうける必要があります。
逆に、ゆっくりと眼圧が上昇していく場合や、正常眼圧の緑内障(正常眼圧緑内障)では、自覚症状が出にくいため、気がついたときにはかなり視野が悪くなっていたということになりがちです。
アレルギー性結膜炎・アレルギー性結膜疾患
アレルギー性結膜炎には、ある季節に限定して『目のかゆみ』や『充血』などの症状がみられる季節性アレルギー性結膜炎と(花粉症など)、季節に関係なく症状がみられる通年性アレルギー性結膜炎とがあります。
季節性アレルギー性結膜の原因はスギ、ヒノキ、ブタクサ、イネ科の花粉に代表されるような花粉が多く
通年性アレルギー性結膜炎の主な原因は、ハウスダストやダニ、犬・猫の抜け毛やフケ、カビなどと言われています。
アレルギー性結膜炎にはアトピー性角結膜炎、春期カタル、巨大乳頭性結膜炎という3つの疾患が含まれています。これらはアレルギー性結膜炎に比べるとはるかに少ないですが、いずれも治療の難しい疾患で、長期的な管理が必要です。
原因・症状
三大症状は『目のかゆみ』(目そのものがかゆく感じる場合もありますが、まぶたやまぶたのふちなどの部分に特にかゆみが現れやすく、かけばかくほど症状が強くなることがあります。)
『充血』『流涙(涙がでる)』です。
重症になると『ゴロゴロする(異物感)』『目やにが出る(眼脂)』また、こすってしまったことで結膜がゼリー状に腫れたり(結膜浮腫)、角膜に傷がつくこともあります。
ドライアイ
ドライアイとは、涙が少なくなったり、涙の成分がかわり、目の乾きや疲れを感じるようになる慢性の病気です。ドライアイ患者は、全国に約800万~2200万人いると推定されており、誰でも発症する可能性があります。オフイスワーカーにおいては3人に1人がドライアイという報告もあり、年々増加傾向にあります。
主な原因としては、涙の質・量の低下、パソコン等によるまばたきの回数の減少、エアコン等により涙の蒸発がしやすいこと、コンタクトレンズ使用や、アレルギー性結膜炎などと言われています。
原因・症状
目の乾きや疲れの他に、見えにくい、目がゴロゴロする、涙がでる、光がまぶしく感じる、目やに、充血など、ドライアイとは関係ないと思われるような多彩な症状もあります。
涙がたくさん出ていても、涙の質がよくないと目が乾くことがあります。
重症になると、眼の表面(角膜・結膜)に無数の傷がつく場合もあります。
加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症は名前の示す通り、加齢が原因で起こる眼疾患です。欧米では主要な失明原因のひとつとして以前から知られていましたが、急激な高齢者の増加に伴い、日本でも患者数が増加しています。患者数は男性の方が多く、年齢が高くなるにつれて増加し、両眼に発症する割合も高くなっていきます。
加齢黄斑変性症は失明という深刻な事態を招きかねない眼疾患であるにもかかわらず、一般にはまだよく知られていません。
喫煙者に多くみられることが報告されています。
原因・症状
加齢黄斑変性症では加齢や、生活習慣の欧米化により、網膜の中心部である黄斑部がいたむのが原因です。そのため、ものを見ようとしたときに視野の中心部が最も影響を受けます。進行とともに、見たい部分がゆがんで見える(変視症)視力低下(見たい部分がほやけて見えることにより)コントラスト感度の低下(全体的んいものが不鮮明に見えます)中心暗点(見たい部分が暗くなって見えます)などがおきます。
(ここで黄斑部に起こる疾患には加齢黄斑変性症の他、黄斑円孔(おうはんえんこう)、黄斑上膜、黄斑浮腫などがあり、初期の症状は似ています。が、それぞれは別の疾患であり、治療法も異なります。自分で判断することはできませんので、まずはご相談ください。)
黄斑上膜
原因・症状
網膜の中心の黄斑部に膜がはる病気です。加齢に伴い起こるものが最も多く、その他には、外傷、ぶどう膜炎、網膜剥離術後、などに伴う二次的なものがあります。
症状は初期では自覚症状が乏しく、膜が厚くなると、見たい部分がゆがんで見える等が起こり、視力が低下します。
黄斑円孔
眼底の中心にある黄斑部の網膜に孔(あな)があく病気です。黄斑部は物を見るための中心ですから、黄斑円孔になると見ようとするところの中心が見えにくくなります。
昔は治療不可能とされていましたが、最近では手術でほとんど黄斑円孔は閉鎖することができるようになっています。高齢者に多い病気ですが、眼の打撲などで若い人にも起こることがあります。
原因・症状
加齢に伴い、硝子体(しょうしたい)が変化することにより、網膜の中心の黄斑部に穴があく病気です。
多くの場合、変視症(物がゆがんで見える)で始まります。視力は初期には比較的良好ですが、進行するにつれ低下していきます。
また、眼球打撲により、若い人にも起こることがあります。
中心性漿液性網脈絡膜症
中心性漿液性網脈絡膜症(チュウシンセイショウエキセイモウミャクラクマクショウ)とは、長い病名ですが意味は名前の通りで、ものを見る中心(網膜の中で視力に関係する部分(黄班部))に網膜剥離が発生する病気です。30~50代の働き盛りの男性に多く見られます。片眼に発症することが多いのですが、時に両眼に発症することがあります。ほとんどは良好な経過をたどり、自然に治ること多い。
病気ですが、再発を繰り返したりするような場合は視力も低下することがあります。
原因・症状
不明ですが、ストレスが悪い影響を与えると言われています。
それ以外には妊娠時に起きることもあります。また、ステロイド(飲み薬だけでなく、塗り薬、吸入薬、注射)でも起こるといわれているため、主治医の先生に確認が必要です。
黄斑付近の網膜に栄養を供給する脈絡膜の血管から血液中の水分がにじみ出て、この水分が黄斑付近に留まることで網膜剥離が起こります。
視力低下は軽い場合がほとんどです。視野の中心が暗く見える中心暗点、ものが実際よりも小さく見える小視症、ものがゆがんで見える変視症を生じることがあります。
普通は網膜剥離が治ると症状は軽快しますが、何らかの見にくさが残ることも多く、また、網膜剥離が長い期間続いたり、再発を繰り返したりするような場合には、視力低下してしまうこともあります。
糖尿病網膜症・糖尿病による合併症
原因・症状
網膜には多くの毛細血管があります。糖尿病の患者さんの血液は、糖が多く固まりやすい状態になっているため、網膜の毛細血管を詰まらせたり、血管の壁に負担をかけて、眼底出血をしたりします。そのため、血液の流れが悪くなり、網膜に酸素や栄養素が不足し、これが糖尿病網膜症の原因となります。進行した場合には硝子体で大出血を起こしたり、網膜剥離をきたし、失明に至る場合もあります。
また、高血糖による末梢神経障害および代謝異常などにより、糖尿病眼症の他にもさまざまな合併症が起こります。
白内障、血管新生緑内障の他に、黄斑症、屈折・調節異常、角膜障害、虹彩・毛様体炎、外眼筋麻痺、虚血性視神経症などがあります。
合併症の中には、通常であれば角膜障害のように激しい痛みを感じるものがありますが、末梢神経障害をおこした糖尿病患者さんでは痛みを感じない場合があり、治療が遅れてしまうことがあります。早期発見をし、進行を食い止めるにも、眼科での定期検査は大切です。
糖尿病眼症になったからといって、すぐに失明するわけではありません。
しかし、初期の段階で患者さん自身が眼の異常に気がつくことは困難なので、やはり定期検査をうけることが大切です。
網膜静脈閉塞症
血圧が高く、眼底出血があるといわれたとなると、まずこの疾患を考えます。
急激な視力低下、突然の視野障害が代表的な症状ですが、自然によくなる場合も多いので、医師の厳重な管理のもとで、経過観察をすることもあります。
原因・症状
色々な原因で網膜静脈が途絶すると、網膜に出血し、網膜静脈の根元が閉塞した場合は網膜中心静脈閉塞症となり、網膜全体に出血します。また、静脈の分枝が閉塞すると網膜静脈分枝閉塞症となり、網膜の限局した部位に出血します。
高血圧が最も多い原因ですが、高血圧がなくても動脈硬化が高度な場合は原因となります。
急激な視力低下:出血やむくみ(浮腫)が、視力に最もかかわる網膜の黄斑部に及ぶと視力が低下します。特徴的なのは突然生じるということで、○月○日に見えなくなったと症状の発症時期がはっきりしていることが少なくなりません。
突然の視野障害:黄斑が侵されていない場合は、病変の部位によって症状が異なります。
(例:上、あるいは下の方が見えにくくなる等)変視症がでたり、また、全く無症状のこともあります。
斜視
ふつうものを見る時には、右目も左目も両方の目が、見ようとするものの方向に向いています。ところが、片方の目が見ようとするものを見ているにも関わらず、もう片方の目が目標と違う方向を向く場合があり、これを斜視と言います。子供の2%位みられる病気です。
原因・症状
目の筋肉や神経などの異常:目を動かす筋肉や神経にわずかの異常があると、目の位置がずれ、両目が一緒に正しくものを見ることができず、斜視になります
両眼視の異常:遺伝や脳の一部のわずかな異常が原因で、両眼視がうまくできない場合、それぞれの目がばらばらな方向を見るようになり、斜視になります。
遠視:目はものを見るときにそのものにピントあわせを行います。近くを見るときには、目は内側によります。遠視では、強くピントあわせを行わないと、はっきり見えないため、目はかなり内側によってしまい斜視をなる場合があります(内斜視)
視力不良:病気やけがで、片方の目の視力が悪くなると、両眼視ができず、視力の悪い目が斜視になる場合があります。大抵の場合、その目は外側を向きます(外斜視)
弱視
子供の目の発達には、たえずものを見る訓練が必要です(訓練といっても特別なことをするわけではなく、目を開けて色々なものを見ているうちに、目からの刺激を脳が正しく理解するようになります)子供の視力が発達する途中で、たえずものを見る訓練ができないと、視力の発達は抑えられ、止まってしまします。
これを弱視といいます。
原因・症状
斜視:斜視があると両眼視ができないため、ものが二重に見えます。ものが二重に見えると、脳が混乱するため、斜視になっている片方の目を使わないようになり、使わない方の目が弱視になる場合があります。これを斜視弱視といいます。
遠視:遠視があると、近くを見るときも、遠くを見るときもはっきりと見えないため、視力が発達せず、弱視になる場合があります。
その他:生まれつき、白内障などの目の病気がある場合、あるいは乳幼児期に眼帯を長い間つけたりした場合ものを見る訓練ができず、弱視になる場合があります。
飛蚊症
多くの場合は加齢に伴う生理的変化によるものですが、一部では網膜剥離や重篤な疾患の前触れであることがあるので、飛蚊症を自覚したら、必ず眼科専門医を受診してください。
原因・症状
生理的飛蚊症と病的飛蚊症『(網膜裂孔・網膜剥離)・硝子体出血・ぶどう膜炎』とがありますが、自分ではわからないものなので、必ず眼底検査をうけることをおすすめします。
また、検査をうけた後でも、飛蚊症が急に多く見えるようになったり、大きくなった等の変化があった時にも必ず受診してください。